うつくしいひと
著者 青木聖奈
印刷・製本 ちょ古っ都製本工房
発行日 2024年9月12日
A5 38ページ
昨年亡くなった祖母のことをエッセイにしました。
花札、料理、亡くなる数日前、看護師である友人との会話。
断片的に思い出される祖母との記憶を文字にしたくて書きました。
ーーーーー以下本文から抜粋ーーーーー
「おばあちゃんとは予後のことは話してるの?」
と、話の流れで彼女に聞かれた。
「・・・予後っていつからいつまでを指すの?」
友人が次の訪問先に行く時間が来たので電話を切った。友人は首都圏に住んでいてすぐに直接のお礼が出来なかったので、せめてもとラインでスターバックスのギフトカードを送った。祖母がいつ死ぬかわからないタイミングでも、そんな風に私の心はいつも通り働いた。
ありがとうという気持ちを示したくてギフトを送る。お腹がすいたら冷凍庫からチョコパイを出して食べる。祖母が危ないかもと連絡が来て、一人車で祖母宅に向かうときも、音楽をかけながら向かった。今考えればなるべく平静を装おうとしていたように思う。いつも通りにすることで非日常を日常にしようとしていた。